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ライブにて思考を磨く

先日、「ヒラサワ」なるステルスアーティストのライブ「ZCON」に参加した。2021年に行われた「24曼荼羅」フジロックに次ぐ自身3回目の平沢ライブである。

そのライブは一般的なものではなく、用意されたいくつかのストーリーを観客が選んだルートにより進んでいくというもの。そのストーリーには成功ルートも失敗ルートもあるため、エンディングが異なる。巷では「インタラクティブライブ」とそれを呼ぶそうよ奥さん。

3/25,3/26の2日間3公演が行われたわけですが、某は25日と26日の2部に参加をしました。

25日は曰く「大失敗ルート」とのこと。初日にこれを引くとはなかなかの運。初めてのインタラクティブライブの思い出はこれな気がする。

26日の1部でも失敗ルートを進んだとTwitterで知り、考察を見漁った。LとRのどちらに進めば成功できるのか。もう選択しないというのが正解なのではないかというのも出ていた。

ルートと言っているが、このライブの仕組みはこうだ。

配信にて参加をするオーディエンスを「天候技師」現地にいるオーディエンスを「改訂評議会」とし、天候技師は悪天候の作動により求められるHAPRA次元数の設定に勤しむ。改訂評議会はHAPRA次元数の設定に成功後、改訂する文章を選ぶのだがその選択によりその後のストーリーが変わるというものである。

おそらく読んでくださる方のほとんどは私が何を言っているのかわからないだろう。

もう少ししっかり書くと、ライブ中にTwitter上で「力率を◯%に設定してください」という指示がされる。それが出次第、天候技師はGoogleフォームにて指示の通りの数値へと設定する。これが成功すればそれは「HAPRA次元数の設定に成功した」ということになる。その後現地の改訂評議会が改訂する文章を二択で選択し、ストーリーが進んでいくという次第だ。

口調変わります。

先におことわりしておきますが、今回の記事は初めてインタラクティブライブに参加した男が、PCの画面の前で熱狂していた時の感情や終演後に抱いた驚きを記したものです。

細かく内容に触れるわけではございません。

いきなり「インタラクティブライブ」というワードを出してはいきなり皆様を置き去ってダッシュしておりますが、このライブは平沢進というアーティストが行うストーリー仕立ての観客参加型コンサートです。

このライブは1994年から行われており、ZCONをもって13回目です。

自分も平沢さんの音楽に手を出してからこのライブの存在を知ったのですが、何とか一回は参加したいと思っていたので今回はとてもテンションが上がっていた次第です。

ここからさらに感情入ります。

そもそもこのインタラはアルバム「BEACON」のリリースを受けて、そのアルバムのコンセプトを踏まえたストーリーで進んでいくというものでした。

今回で13回目のインタラクティブライブだったわけですが、全てにおいてストーリーが用意されているためそれの把握がまずは必要になってきます。

しかしそれに対して何かヒラサワ側から補足があるわけではないため、それの理解は参加者各々の解釈に委ねられます。ここがとても面白く感じました。

何せライブに臨むにあたって解釈の余白が生まれるわけですから。

インタラクティブライブの良さはここにあるのかなと思います。

ライブ中に度々訪れる「ホットポイント」と呼ばれる分岐点ではオーディエンスに選択を委ねられる。この選択によってストーリーの進行と演奏される曲も変わるという重要な局面です。先ほどHAPRA次元数がどうのこうのと言っていたのはこのホットポイントの前置きとして行われるイベントです。

25日と26日の2部に参加していたと初めに書いたのですが、25日の公演の最後のMCにて平沢さんは「最も失敗のルート」だったと述べたわけですが、インタラはそういうものだろうと私は思っていました。

事前の予習によると、前回のインタラである「WORLD CELL2015」では初日でグッドエンドに到達しているらしく、こんなこともあるのかと驚いていました。

そんなことはありながら、初見でグッドエンドにはいかないだろうというのは思っておりましたので大きな驚きはありませんでした。

インタラに参加して面白いなと思ったのは、終了後にTwitter上でたくさんの方が考察を行っていたことです。

とてもライブ後の光景とは思えず、これにも驚きがありました。初日は全て右に行って失敗したわけですが、その後二日目にかけてのTwitter上では「反応しない」という意見も出ており、こうやって終演後にTwitterで考察がされるライブというのは初めてだったので新鮮極まりないものでした。

そろそろ内容の話をしなければなりませんが、演奏された曲について4曲分ほど書こうと思います。

「COLD SONG」

3公演ともこの曲からのスタートだったのですが、本来コロナ禍でなければCALL ヒラサワからなので「ヒラサワー!!」という声で始まるわけです。ただ、今回は拍手での呼び込み。

また声が出せるようになるといいですね。

そんな登場後に驚いたのは、ギターが「ICE-9」であったことです。平沢さんを好きになってからというもの、EVOに見慣れた私からするとまさかICE-9を見られるとはということでいきなり感動しておりました。

「TRAVELATOR」

天候技師の作業中にこの曲が流れていたのですが、3回目の公演時に入りを間違えて若干慌てる平沢さんの姿を見られたのは少しニヤッとしました。

フジロックでもあった曲中で平沢さんと会人のお二人がギターを立てるという場面があったのですが、ああいうの私すごい好きなんですよ。

Timelineの東のサビとか、、、

「そもそもソロのライブで核Pの曲やるんだぁ」とも思いこれもびっくりでした。

「LEAK」

今回のライブはアートブラインドやこのあと書くASHURA CLOCKなど還弦曲が入っていて、その壮大ぶりに鳥肌を隠せませんでした。中でもこのLEAKは還弦ver.が大好きなのでまさかインタラで聴けるとはと思い、感動しておりました。

「世界とはお前のお漏らしである」という言葉も印象的でした。

「ASHURA CLOCK」

福間さん!!!そう叫んだこの曲ですが、還弦ver.なので壮大さがストーリーを引き立てているなと感じました。

「保護者」なる存在が登場し、救済のヒーローだったはずが、実は保護者こそが全ての元凶であり自作自演だったという真実が明らかになります。これは深いメッセージであるように感じました。

それまでデュンク・アンの旋律を集めていたわけですが、ここで発揮します。ルビイ、シトリンの二人がステージに現れ、ルビイはサックスでシトリンは歌声でデュンク・アンの旋律を奏でます。ここからさらにBEACONにつながります。

ルビイさんのデストロイサックス痺れました、、、

その後エンディングに向かい、3公演目で見事グッドエンドに辿り着いたわけですが、オチでは声が出てしまいました「えっ、、!!」と。

そんなこんなで無事にグッドエンドを目の当たりにすることができたわけですが、見ているこちらが達成感を感じるというのはなんとも不思議な感覚でした。

やはりストーリーを見ていて「苦=善、楽=悪」というロジックへの抵抗は正しかったのだと検証されました。

それは私のnoteにて記しておりますゆえそちらもよければご覧ください。

それではまた今度。